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「緊張したなかでも自分の気持ちを伝えることができました」と声をそろえた

英語&日本語スピーチコンテスト最優秀賞受賞の2人

 学祭の「神国祭」が開催された11月9日に「第32回 英語&日本語スピーチコンテスト」が行われた。秋の空はあいにくの雨模様となったものの、キャンパス内の特設ステージではゲストの神戸発アイドルユニット「KOBerrieS(コウベリーズ)」がミニライブを行い、消防団PRでは女性お笑いトリオ「森三中」の黒沢かずこさんらが登場、学生のKpopダンスサークルによるダンスパフォーマンスなど、出演者らが様々なパフォーマンスを繰り広げてステージを盛り上げていた。

 その喧騒をよそにスピーチコンテスト会場となった2号館2202講義室は閑静につつまれていた。英語部門から始まったコンテストの出場者はどの顔も真剣そのもの。この日のために重ねた練習の成果を表そうと流ちょうな言葉遣いでそれぞれが思いを語っていた。

英語部門最優秀賞のファンさん

 英語部門の最優秀賞に選ばれたのは今年9月に来日したばかりの留学生ファン・ティン・チェウ・ビさん(ベトナム)。スピーチタイトルは「A missed call」で相手からの電話に出られなかったという意味。ファンさんは現在、ホーチミン市内にあるフフリット大学4年生で大学進学後は「いつも自分の夢を追いかけるのに忙しかった」と振り返る。母親から電話がかかってきても「今から勉強しなきゃいけない」とか「今は忙しいから」と言って、すぐに電話を切ってしまったという。「母はすぐに電話をかけ直すことはしなかった。話すことができなくても何も求めてこなかった」と娘の「今」を気遣う母親のやさしさに触れ、「いつもそばにいてくれている」と感じて電話を切ってしまったことを後悔することが何度もあったという。ファンさんは「若い人は勉強が忙しかったり、(故郷を離れて)家族のことを忘れたりする人が多いから、自分自身の経験を伝えよう。大きなテーマより、身近で分かりやすいほうが多くの人に共感してもらえる」と考えてテーマを決めた。コンテストでは「緊張して頭が真っ白になってしまったが、その緊張感のおかげで今の気持ちをストレートに伝えることができました」とピンチをチャンスに変えて奮起し「自分としては90点の出来栄えで、すごく自信になりました」と満足そうに振り返った。

 本学に留学生として入学した当初は「クラスの中にベトナム人が一人しかいなかったので少し怖かった。でも授業の雰囲気が明るくて楽しいし、先生が分かりやすく教えてくれる」と今はすっかり溶け込んでいる。来日直後は日本に住んでいる実姉と一緒に奈良に旅行して東大寺の大仏などを見学。奈良公園で鹿に餌をあげるなど日本の文化に触れた。ベトナムではディズニーの映画を見て英語を勉強し、フフリット大学で日本語を習った。「日本では会話ができるので日本語力をもっと高めたい」と意欲を見せる。「今度は東京に行って、ディズニーランドにも行きたい」と日本を駆け回るつもりでいる。

  日本語部門の最優秀賞受賞者はギェム・ティ・ホンさん(ベトナム)でスピーチタイトルは「『当たり前』の大切さに気づいた瞬間」。ギェムさんは「ベトナムではいつも親が世話をしてくれました。日本で一人暮らしを始め、風邪をひいて高熱が出た時に寄り添ってくれる人がいないことの寂しさを感じました。家族の存在、親の大切さを伝えたかった」とスピーチの内容を説明した。コンテストの自己採点は80点。「めちゃくちゃ緊張しました。2、3回止まって10~20秒ほど間を空けてしまいました。頭が真っ白になりましたが、深呼吸して練習した時のことを思い出したら言葉が戻ってきました。完ぺきではなかったけれど自分の思いは伝えられたと思います。この賞は今後の大学生活での自信になります」と喜んでいる。

本語部門最優秀賞のギェムさん

 ギェムさんはベトナムで日本語を勉強し、2019年に技能実習生として来日し、3年間三重県内の工場で働いた。一時帰国した後、仙台市内の日本語学校で学び、24年4月に本学の経済学部経済経営学科に入学して現在2年生。3年生からのゼミ授業に必要な幅広い能力やスキルを事前に学ぶ上田恵美子教授のプロゼミでは日本とベトナムの美容室の違いを研究している。「4年生までに(日本語能力試験の)N1取得を目指します。将来は日本で就職し、日本とベトナムをつなぐ仕事に就きたい」と目を輝かせる。「日本に来て成長できました。今は一人暮らしをしていても全然問題はありません。なんでも一人で解決できます」とギェムさん。「三重県や仙台市にいたし、今は大阪市に住み、神戸や奈良にも行きました。今度は東京かな、原宿にも行ってみたい」と慣れた日本での生活に心を躍らせている。