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理学療法士のプロキックボクサーが凱旋
今春卒業の山内歩希さんが異色の初勝利
本学リハビリテーション学部理学療法学科を今年3月に卒業したプロキックボクサーの山内歩希(いぶき)さん(23)=神戸市出身=が10月30日に後楽園ホール(東京都文京区)で行われた大会で大逆転のKO勝ちを納めた。異色の理学療法士兼プロキックボクサーとして初勝利(戦績は3勝1敗)を飾り、11月7日に本学に凱旋。在学中のプロ転向後もゼミ生とともに応援し続けてくれた小谷将太助教らに勝利を報告した。

秋晴れの空の下、小谷助教や後輩の学生に囲まれた山内さんは清々しい笑顔を浮かべて、半年ほど前まで通ったキャンパスを懐かしそうに眺めた。在学中にプロ転向してキックボクシングを続け、理学療法士を目指して勉強にも力を注いだ。そして理学療法士のプロキックボクサーとして初めて挑んだ試合で勝利をつかんだ。「小谷先生のゼミで勉強していました。先生は『理学療法の勉強を頑張ってほしいが、好きなことも頑張れ』と言ってくださり、(キックボクシングを)一切否定しないで応援してくれました。今は感謝しかありません」と異色の勝利を自分のことのように喜んでくれる小谷助教らに囲まれ、山内さんが頭を下げた。
卒業後は就職しないで東京のジムに移籍した。移籍先はK-1史上初の3階級制覇を果たした武尊(たける)さんが率いるジム。10月に行われた大会は各ジムの垣根を越えてキックボクシングンを盛り上げようと開催された全国規模の「キックボクシングGOAT」。会場は格闘技の聖地とも言われている後楽園ホール。山内さんは武尊さんのはからいで大舞台のリングに上がった。その試合は壮絶な戦いだった。

リングネームは歩希(IBUKI)。相手は別団体の28歳のフェザー級(体重57.5キロ以下)チャンピオン。1ラウンド(R)から相手の強烈な左ストレートを浴び、2Rまでパンチを浴び続けてポイントを失った。しかし、歩希選手は「1、2Rは劣勢になると思っていた。でも(最終の)3Rになれば相手のスタミナが落ちてくるので手数を増やせば倒せる」と反撃を狙っていた。その作戦がはまった。3Rに入ると相手に右ストレートを連続で打ち込んだ。右ミドルキックも決まり形勢は逆転。ダウンを1度奪い、残り10秒で再び右ストレートが決まると、ふらつく相手の体をレフリーが抱えてTKOに。リング内を走り回って歩希選手が逆転勝利の喜びを爆発させた。「いつもなら負けパターンの試合でした。でも、大舞台で冷静にできた。そこで倒して勝てたので自分の殻を一つ破れ、進化できた試合だと確信しました」と自信に満ち溢れていた。
今後は、各団体の大会に出場し、勝つことでランキングを上げて日本チャンピオンを目指していく。将来的にはキックボクサーを育成、指導する専門家のトレーナー業に目標を定めている。「トレーナーをやっていく上で理学療法は僕にとって必要な知識だと思っていました。全部の分野に興味があったし、キックボクシングをしなければ分からない部分もありますから、いまはかみ合っていると思う。この大学を原点にできたから、いまの自分があると思います」と山内さん。
チャンピオンから日本一のトレーナーへ。六甲アイランドで培った異色のキックボクサーの夢がさらに大きく膨らんでいる。



