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ファッション業界の未来を考えるシンポジウムを本学で開催
経済学部・山本ひとみ教授のゼミ生も参加
ファッション業界の第一線で活躍している教育者や実業家を招き、「ファッションの未来 教育とビジネスの現場から考えるイノベーション」をテーマにしたシンポジウムが9月8日に本学で開催された。ファッションビジネス学会が主催し、急速に変化する社会に適応しながら何を守り、どんな新しい価値を創造していくべきかを学校教育と企業の現場、双方の視点で考察を深めるのが狙い。同学会の副会長を務める本学経済学部の山本ひとみ教授のゼミ生(2~4年)も参加し、今後のファッション業界について学んだ。
「ファッションビジネス教育の新視点」をテーマに立命館大学の山本誠一教授らの研究発表の後、2人が基調講演した。大阪文化服装学院の豊田晃敏理事長は「日本でファッションを学ぶなら…?第一想起されるために。存在をかけた改革と取組み」と題して熱弁をふるった。創立78年の歴史を持つ同学院が日本で最も高い成果を上げ、世界から信頼されるファッション教育機関であり続けるために「デザインは思いつくものではなく、探すものだ」などの考えを示し、国際的に活躍できる人材育成などの取り組みを披露した。
主に衣料事業と雑貨事業を中心に若年層を中心に支持を集めている「パルグループホールディングス」(本社・大阪市)の経営企画室の井上真央さんは「新規事業を担うファッション人材を考える」をテーマに奈良県下市町にある複合型商業施設「キト フォレストマーケット シモイチ」で地元食材を使用したレストランや地域の職人によるギャラリーなどの運営を紹介。施設名の「キト」に込められた「木と共に、きっと出会える」という思いを伝えた。さらに運営する和歌山県白浜町のラグジュアリーホテル「くろしお想」を紹介。会社の働き方改革への取り組みなども説明した。
特別講演として本学経済学部の田端昌平学部長と山本教授がそれぞれ登壇し、「神戸国際大学が取り組むグローバル人材を生み出すバックキャスティング教育」について説明した。バックキャスティング教育とは学生が将来なりたい姿や目指す職業を想定し、そこから逆算して必要な学びを設定、実践していく教育手法。専門科目の教員が理論に基づいて科目構成し、講義内容などを示した計画書を作成して授業を実施。並行してキャリアデザイン科目(単位取得科目)を推進し、キャリアセンターの業務と個別カウンセリングとの連動を重視。中小規模大学ならではの特性を活かした運営で、50校を超えた国内外の協定大学や、企業との連携を通じて、グローバルな教育環境のもとで体験型のマネジメント教育を展開している。

経済学部の田端学部長

田端学部長はコース制に基づく教育の考え方を説明。同学部は専門分野を系統的に学べるよう開講科目をグループ化し、自分の将来の目標に合わせたコースを選択して科目を履修できる。コース内で10科目以上習得すれば修了証を発行して就職活動に役立てている。山本教授は「ファッション・デザインビジネスコース」での科目履修事例や管理職育成型に対応するための学科を越えての履修、ゼミ生が他業界へも積極的に参加するインターシップの考え方などを紹介した。

新しい仕事に臨む予定の浜さん
シンポジウムに参加したゼミ生たちも、自身の将来と重ね合わせるように登壇者らの言葉に耳を傾けた。同学部国際文化ビジネス・観光学科4年の浜ののかさん(22)=群馬県太田市出身=は「デザインというものにあこがれていましたが、何も学んでいないので発想力がどうかなと思っていました。でも『デザインは探すものだ』と聞いて自分もリサーチをたくさんすればできないことではないと思いました」と言葉を弾ませた。卒業後の来年4月からは関東地方に戻り、アパレル企業に就職する予定で、市場調査に基づいて商品を買ってもらうための適切な価格、時期と場所、数量で供給する戦略的活動となるマーチャンダイジングの仕事に就く。「新しい事業を展開する場合、一人一人の背景を知ることが大事だという話もありました。思っていた多様性よりもっと広い視野をもって新しいことに挑んでいきたい」と目を輝かせた。
シンポジウムが行われた8日が20歳の誕生日だった同学科2年の平井翔太さん=富山市出身=は「複合型商業施設の話が面白かった。将来は起業して同じような仕事をしたいので、どういう仕組みでどのようなプランニングをしているか興味深かった」とうなずいた。隣の席で参加した同学科2年の甲元亜希さん(21)=岡山県津山市出身=とは卒業後に一緒に起業することを約束している。甲元さんは「僕がアイデアを出して、彼がそれをディレクトしていくことになっています。どういう起業をするかは企業秘密です」とそろって笑みを浮かべた。将来を見据えたシンポジウムに2人は大きな刺激を受けたようだ。
