NEWS

  • お知らせ
  • 教育・研究

第7回神戸国際大学地震津波に向けた防災減災セミナー「阪神大震災後の医療の発展について」を開催しました

2023年1月8日(日)神戸国際大学2号館4階ミカエルホールにて、本学防災救命クラブDPLS(ディプルス)が主催する地震津波に向けた防災減災セミナーが開催されました。

同セミナーは今後30年以内に発生する危険性が高いとされる南海トラフ地震に対し、地震や津波の被害を最小限にすることを目的に、阪神大震災や東日本大震災等の過去の大災害を振り返り、地震や津波に対する備え、また、防災・減災について考えていく機会として地域住民の皆様と学生がともに専門家から学ぶための講演会として2017年から継続して毎年開催しております。

今年度は「阪神大震災後の医療の発展について」をテーマにNPO法人ふたば震災学習登録語り部 地域アドバイザーの中村昌弘氏と兵庫県災害医療センター名誉院長・顧問である中山伸一氏を招いて、阪神淡路大震災時の医療事情とその後の変化や阪神淡路大震災時からの教訓と現在の災害医療についての内容となりました。

「阪神淡路大震災時の医療事情とその後の変化」については中村昌弘氏が登壇。

自身が避難所のスタッフとして働いていた実体験から、当時の状況を写真とスライドを交えて説明。
震災発生当時は分からなかった倒壊した家屋から救い出された方に発症する挫滅症候群(クラッシュ・シンドローム)やエコノミークラス症候群が数多く発生したこと、また住民の高齢化による町づくりの停滞、町内会の担い手不足による地域コミュニティによる共助の欠落、転出者の帰還困難者と新住民との軋轢など災害によって発生し、28年経過した現在でも続いている諸問題について紹介されました。

「阪神淡路大震災時からの教訓と現在の災害医療」につては中山伸一氏がZOOMで参加。 災害発生時の医療は需要と供給のバランスが崩れてしまい、患者が増え、医師、看護師、薬が足りなくなって治療ができないという状況が発生します。阪神淡路大震災の時は、まさにこれに当てはまり、市民病院の機能不全、医師や看護師の被災による人員不足、ラインラインの遮断、特に電気の遮断により最新の医療技術が使えなくなり手術もできませんでした。また他の都道府県との地域医療連携も未整備だったので、救急車の手配や受け入れもできませんでした。

震災後、これらの教訓から全国規模での改革が進み、災害拠点病院の整備、DMAT(災害派遣医療チーム)、EMIS(広域災害救急医療情報システム)の創設など現在の災害発生時の医療体制は阪神淡路大震災をきっかけとなり整備され、東日本大震災、JR福知山線脱線事故などで成果を発揮しました。

大切なのは、準備すること。いつ起こるかわからない災害に対して備えること。そして自助、共助、公助の役割分担が重要であると訴えていました。

【ご来場者の声】

・久しぶりに震災時の生々しい写真を見て、当時のことを思い出すと共に現在の課題についても理解できまいた。(63歳男性)

・私自身もそうですが、セミナー受講者の中には、阪神淡路大震災経験者がいると思われます。その方面の質問があれば、体験から得られた話が出来たのではないかと思いました。(78歳男性)

・「普段できない(できていない)事は、災害時(緊急時)にもできない」これは、心に響きました。(60歳女性)

【参加した学生の声】

・普段から近所の人とコミュニケーションをとっておくことや避難所を確認しておくなど少しだけでも目を向けることで防災、減災につながると思いました。

・今回の講座に参加して、負傷者と医療機器や医療者がバランス良く保たれることで、死者数を大幅に減少されることができると分かり、日ごろから防災について考え、対策する必要があると思いました。

・自分自身が大きな震災の被災者になったことがないため、想像したり、経験者から話を聞くことで対策をしなければならないが、想定していること以上のことが起きる可能性があることが分かった。