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リハビリテーション学部の1年生を対象に、障害を持たれた方に参加いただき特別授業を実施しました

リハビリテーション学部理学療法学科1年生を対象とした理学療法基礎論では、将来、理学療法士を目指すものとして、「精神面も含めた医学の基礎知識を体験や経験から学び、今後へと続く人命に対する尊厳や医療倫理を学ぶこと。」や「様々な実践や経験を通じて、理学療法士を目指すものとしての医療倫理観や、進むべき道・自らの学ぶべき信条を確立すること。」を目的に学んでいます。

2022年7月15日(金)、特別授業として障害および障害を持った方を理解し、人命に対する尊厳や理学療法士を目指すものとしての医療倫理観や、進むべき道‧自らの学ぶべき信条を確立することを目的に、障害者参加型の授業を実施しました。

ひがしなだ支援センターの曽我部氏のご挨拶の後、聴覚障害によるお話から授業は始まりました。

聴覚障害を持った方にとってベテラン通訳が必要なシチュエーションや、コロナ禍で不便に感じたことや困難があったことを教えていただきました。

また、手話ができない方とのコミュニケーションを取ることの難しさや、口話や手話の教育、読唇術を使用しながら会社で働いていた時のエピソードもお話しいただきました。

肢体障害に関する話では、事故で肢体不自由になった方が、入院後にリハビリをはじめるにあたり、体力を付けるために理学療法士と一緒にトレーニングをしたことや、仮義足から本義足に移行するまでの5ヶ月間の様子など、詳しくご紹介いただきました。

他にも、義足をつけることで感じる生活の不便さについて、トイレや階段だけでなく、道路状況による歩きにくさや怪我のリスクや、重たい荷物が持てないことや履ける靴が限られるといった、障害者ご本人ならではお話をしていただきました。

また、脳性マヒのお子様を持たれた保護者の視点で、病院でするリハビリと家でもできるリハビリを教えてもらうことの重要性について伝えていただきました。また、今できることを続けられるようにリハビリを頑張っていることなど、理学療法士との関わりとともに教えていただきました。

知的障害支援者の立場として、多機能型障害福祉サービス事業所である「協同の苑 もとやま園」の主任より、事業内容や利用者数とどのような活動をしているのか、年間行事など施設について紹介いただきました。

利用者の一日の生活に流れと、障害に応じて何ができるか、何が得意か、どうしたらできるのかに着目して、支援や活動をしていることをお話いただきました。

精神障害の方からは、施設を利用するようになったきっかけや、通院や薬の服用についてお話しいただきました。また、通院時にどのような声をかけると良いか?と言った質問にも回答いただきました。

他にも生活面の課題について、障害の等級や状態によって変わる障害年金の受給要件のハードルが高くなり金銭面に不安があること、障害を持った方が社会に貢献できる仕組みがもっと広がれば良いことなどをお話いただきました。さらに、統合失調症のご家族を持つ方からは、家族や社会によるサポートなど、エピソードを通して紹介いただきました。

また、地域の視点から民生委員児童委員の方にもお話いただきました。以前は貧困世帯に向けた支援が中心でしたが、現在は高齢世帯や障害をお持ちの方がいる世帯の支援をしていることを紹介いただきました。

■参加学生コメント

小学生の頃、当事者の方のお話を伺う機会がありましたが、以降はYouTubeなどで障害を持たれた方の配信を見て勉強していました。今回直接伺う中で初めて知ることもあり、とても参考になりました。これから学ぶ上で意識や準備を変えることができましたし、実習にも役立てたいと思います。

リハビリテーション学部
理学療法学科1年

■担当教員コメント

障害を持たれた方が生活しやすい社会、共生社会を目指す上で、理解をすることはとても重要です。例年、この特別授業は3年生を対象に実施していましたが、今年から1年生を対象に行っています。1年生は8月に体験実習(理学療法概論演習)も予定されており、そこで障害を持たれた方と接することもあります。

今回、教科書を読むだけでは理解が難しい障害について、障害を持たれた方にお越しいただき学ぶことができました。学生の皆様には、医療の知識だけでなくどのような支援ができるのかを考え続けることのできる理学療法士になってほしいと思います。

理学療法学科
教授 小枝 英輝