【観光×医療コラムVol.2】 神戸国際大学を取り巻く状況はコロナ禍でどう変化しているのか?

新型コロナウィルス感染症では観光・医療は特に注目された現場です。今回は観光×医療特集として、経済学部 国際文化・ビジネス観光学科とリハビリテーション学部の教員・学生から見た「神戸国際大学を取り巻く状況はコロナ禍でどう変化しているのか」について対談していただきました。現状からアフターコロナに向けた学びについて4回に分けて連載していきます。(2021年1月インタビュー、2022年度大学案内パンフレット記載) *Vol.1はコチラ

観光業界就職について

三橋さん 観光業界への就職を視野に入れているのですが今後はどうなっていくのでしょうか。

北先生 国連世界観光機関は世界の観光産業が2019年と同等のレべルまで回復するには2年半から4年の年月を要すると予測しています。繰り返しになりますが観光業界は元に戻リます。ただし、今後旅行へのアプローチの仕方や旅行のスタイルは大きく変わるだろうと想定されます。まず、ツアーやパッケージは対面販売からネット販売への移行がますます加速するでしょう。しかしネット販売が対面販売に取って代わるというわけではなく、あくまで併用か主流になるという見込みです。インターネットは便利ですが、情報の取捨選択スキルか問われます。信頼できる人からの情報が希求される中で高い専門性をもって信頼感を与えられるのが対面販売の特長だからです。そして今後求められるのはどのようにコロナと付き合いながら旅行を実現するのかということです。宿泊施設や交通機関を選ぶ際には従来から重視されている価格や利便性のみならず、十分なコロナ対策が行われているかという点も基準に加えられるでしょう。そう言えば三橋さんはグループワークコンテストで「播磨の小京都」と称される兵庫県たつの市を取リ上げていましたよね。たつの市の事例も新たな旅行スタイルの一つになると思いますよ。

三橋さん はい。ウィズコロナの観光のあリ方を踏まえて観光先を分散できないか考えました。コロナ前の京都はオーパーツーリズムが問題となっていました。さらに、コロナの感染拡大を受けて「三蜜」の回避が重視されるようにもなっています。そのことから、観光地としてまだ多く注目されていないエリアを再発掘し観光地の分散を考えました。こうした状況は「播磨の小京都」と呼ばれるたつの市にとって追い風だと思います。観光資源こそ京都に及びませんが町並みには目を見張るものかありますし、映画の撮影地にもなっています新たな人気観光地としての可能性か感じられました。

北先生 その通りです。これからはオーバーツーリズムを避けて都市から地方への流れが盛んになるのではないかと予想しています。またコロナ禍で観光客が減少したことで思わぬ変化も見られました。例えば、ハワイのワイキキビーチ。コロナ前よりも海の透明感が増したと言われています。他にもオーバーツーリズムにより損なわれた自然が戻りつつあると、多数の観光地から報告が寄せられています。SDGsが訴求する持続可能な観光への関心が高まっていることもあり、新たなキーワードを備えた観光地がトレンドになるかもしれませんね。

リハビリテーション学部の実習について

村上さん 2020年度は病院や施設での実習が叶いませんでしたが、2021年度はどうなるのでしょうか。実習は現場で学び、現場の理学療法士の聞ける貴重な機会なので、可能であれば行きたいです。また、就職状況が厳しくなるという報道を目にしました。実際はどうなのでしょうか。

武政先生 多くの大学・専門学校が例年通りの実習を行うには難しい状況にありました。本学も、4年次の臨床実習を14週から3週(*1)に短縮して実習するとともに、感染対策を徹底した上で、外部講師を招いた学内講習を行いました。村上さんがおっしゃるように、現場での経験を通して知識や技術を高められる絶好の場です。特に4年次の臨床実習は理学療法士を目指す上で非常に大事な時間だと思います。2021年度の実習施設はすでに確保しているので、学生の国家試験や卒業後も見据えて、社会情勢上やむを得ない場合を除いては実施したいと考えています。就職に関してですが、現状では求人数に大きな変化はありません。減少傾向の見受けられる地域もありますが、全体の26%(*2)もの病院や施設が、次年度も引き続き増員したいという意向を示しています。実習の中止・短縮が相次ぐ中で、現場も新人教育によリ力を注ぐようになるのではないでしょうか。

*1)2021年度の4年生の実習は2グループに分けて、7週間病院実習を実施しています。(2021年5月時点)
*2)公益社団法人日本理学療法士協会の調査による(取材時)