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大阪IRが2030年秋に開業予定世界と日本を「結ぶ」結節点となるIRを目指して

大阪府・大阪市 IR推進局企画課の天野さん

 経済学部の北邦弘教授が教える「観光経済学」の授業で、大阪府・大阪市IR推進局企画課の総括主査・天野章江さんをゲスト講師に招き、大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)に建設中のIR施設(統合型リゾート)についての講義が12月23日に行われた。

 IRはIntegrated Resortの略で統合型リゾートともいわれ、民間事業者がホテルやレストラン、ショッピングモール、エンターテイメント施設、国際会議場・展示場、カジノ等の施設を一体的につくり、運営する複合型の施設。建設中のIR施設は、MGM大阪株式会社(MGMリゾーツとオリックスのほか関西地元企業を中心とする22社で構成)が運営し、2030年秋ごろの開業を目指している。

大阪の成長を促すIRを説明する天野さん
大阪IRのパンプレットを見ながら学生たちは
天野さんの講義を聞き入っていた

 天野さんは世界のIRとしてシンガポールの2つの事例を挙げ、IR導入後の変化として外国人入国者数、ツーリズム分野の売り上げ、IRにおける雇用が飛躍的に増加したことを説明した。そして大阪の現状を考査。人口減少と高齢化の進展による経済・市場規模の縮小などを挙げ、今後の大阪経済を支えていくための新しい視点が必要であることを述べた。厳しい財政状況の中で大阪の経済活性化に取り組むには民間の力を最大限に活かすことを、新しい視点の一つとした。さらに有名観光地がたくさんある関西圏の特性を生かして観光分野の基幹産業化を挙げた。

 そのうえで、大阪が目指すIRを説明した。国際会議場施設の最大会議室の収容人数は6000人以上で全室の総収容人数は1万2000人以上、展示等施設の展示面積は約2万平方㍍と世界最高水準となり、観光振興にとどまらず、ビジネス・イノベーションの機会の創造、地域への経済効果、国・都市の競争力向上といった人の集積や交流から派生する不可価値を生む施設を目指している。大規模なバスターミナルやフェリーターミナルを整備してアクセス機能も強化。IRに集まった観光客を日本各地に送り出す施設として、その働きを担う。利用者のニーズに対応する宿泊施設も特色の一つ。エンターテイメントホテル、多世代型アクアリゾートホテル、VIP向け最高級ホテルで構成され、3つのホテルの総客室数は約2500室となる。

 カジノ施設は、IR施設の床面積合計の3%以内とし、国の適切な監視、管理の下で運営する。カジノ事業の収益はギャンブル等依存症対策や治安・地域風俗環境対策などに活用する。カジノ施設の利用に伴うギャンブル等依存症の発生、進行及び再発を防止するため、最先端のICT技術(生体認証等)の活用などによるカジノ施設への厳格な入退場管理を実施。入場等回数制限措置並びに、本人及び家族等の申出による利用制限措置も実施する。治安等の対策としては、夢洲地区に新しく警察署を設置。府警察の警察職員の増員など警察力の強化を図ったうえでIR事業者と適切な役割分担して取り組む。IR事業者による、防犯カメラによる監視や24時間・365日体制の自主警備、マネー・ロンダリング対策や反社会的勢力の排除、テロ対策やサイバーセキュリティーの確保なども行われる。

質問コーナーでは北教授も加わって
様々な意見が出された

 IRの運営効果は、年単位で来訪者は約2000万人、経済波及約1兆1400億円、雇用創出約9.3万人、地元調達額約2600億円、IR施設雇用者数約1.5万人などと見込まれている。IR事業者から納められる納付金(年単位)は約740億円、入場料(同)は約320億円が見込まれ、大阪府と市で均等配分され、住民福祉の増進や持続的な成長に向けて広く活用されることになっている。

 最後に天野さんは「2030年秋ごろに開業が予定されています。皆様の中には将来、IR施設で働く方や、直接でなくてもIR事業者との取り引きや来訪者を相手にビジネスをされるなど、このIRにかかわる可能性があると思います。日本初のビッグプロジェクトなので、今から興味・関心を持っていただければ幸いです」と学生たちに呼びかけた。

夢洲に警察署が新しくできることを知り
安心しました」と話す高山さん

 同学部国際文化ビジネス・観光学科4年の高山直也さん(22)=大阪府堺市出身=は「IRについて興味はありましたが、知らないことばかりでした。でも、今日の講義を聞いてしっかりとした計画で建設が進められていることを知りました」とうなずいた。カジノに対しては「いいイメージを持っていなかった」というが、「夢洲は夜の治安が悪いと聞いているので、警察署が新しくできると知って安心しました。治安だけでなく、キャンブル依存症にも対策するというのでさらに安心できました」と笑みを浮かべた。来春の卒業後は「阪神高速パトロール株式会社」への入社が内定しているという。「夢洲にも高速道路でつながっています。交通渋滞の懸念もあるし、夢咲トンネルなどで事故が起きれば僕たちが対応することになるのでIRには関心があります」と5年後の開業に興味を示していた。