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留学生から留学生へと語り継ぐ
本学初の多文化防災リーダーによる授業を実施
災害発生時に日本人と外国人をつなぎ、助け合いながら避難活動などを促していく外国人の多文化防災リーダー。その資格を認定された本学経済学部経済経営学科2年の留学生2人が11月26日、1年生の留学生約30人を前に日本に住んでいる外国人の防災などについての授業を行った。本学で多文化防災リーダーが講義するのは初めて。

講師はともにネパールからの男性留学生コイララ・マニシュさんと女性留学生パラジュリ・サムジャナさん。2人は、国際交流・多文化共生を進める神戸市の外郭団体「神戸国際コミュニティーセンター(KICC)」(神戸市長田区)が主催した多文化防災リーダーの育成プログラムを今年9月から受講して資格を認定され、11月から災害に備える大切さを伝える活動などを始めている。
多文化防災リーダーになれるのは18歳以上で日本語能力試験N3かそれ以上を取得する外国人で、3回の育成プログラムを受講すれば神戸市からリーダーとして認定される。プログラムは1回目が「日本の災害について学び、災害に備える気持ちを高める」。2回目が「自分を守るために自分でできる備えを学び、ポリ袋を使った災害食の調理などを行ってアレンジレシピを考える」。3回目は「災害が起きたと仮定し、避難所を体験して外国人にとっての問題点を考える」。2人は災害食の調理でごはんやオムレツをつくり、段ボールを使った避難所を体験した。リーダー任命式と企画会議をへて活動デビューは11月1日に神戸学院大ポートアイランドキャンパスで開催された「ポーアイ総合防災フェスタ」で防災訓練や災害食の「たまごプリン」の調理などにチャレンジした。今後も活動を繰り返していく。
授業を受けたのは上田恵美子教授と瀬古悦世准教授がそれぞれ受け持っている1年生基礎演習クラスの留学生。後輩を前にしてマニシュさんとサムジャナさんは災害から命を守るための準備として「知る」「備える」「行動する」ことの大切さを挙げて日常の小さな準備が必要なことをまず伝えた。地震、台風、洪水など日本で起こる災害の種類を示しながら、災害が起きた時の3つの行動として①机の下に入ったり、頭を守ったりと自身の身を守ること②防災アプリや市の情報などから正しい情報を確認すること③避難所への移動、を挙げた。そして、避難所での生活を支えるために地域とのつながりの大切さを強調し①日ごろからあいさつ・会話をする②地域行事に参加して顔見知りになる③緊急時に助け合える関係づくり④「助けられる側」から「助ける側」へなどを示し、日ごろから地域との交流を図るためにボランティア活動への参加も促していた。授業には神戸市役所やKICCの関係者らが視察に訪れて2人の熱心な講義ぶりに耳を傾けていた。
授業を終えたマニシュさんは「準備してきたことをしっかり伝えることができました。大切なことは外国人が日本で安全に暮らせることです。そのためには地域とのつながりが一番。ボランティア活動などで地域とコミュニケーションを図ってほしい」と後輩たちに思いを寄せた。来日して4年目で、日本の文化が大好きというマニシュさんは京都を訪れたり、有馬温泉に入ったり。「これからもボランティアを続けて日本の友だちをたくさんつくりたい」と言葉を弾ませた。

4か国語を話せるというサムジャナさん。「日本は災害発生に備えているところがいいと思いました。きょうは緊張しましたが、備える大切さを伝える機会があって良かった。必ず役立つ知識なので一人一人がしっかり考えて準備してほしい」と願っていた。将来は語学力を生かして貿易関係の仕事に就くことを目指している。「いろいろな国に行って仕事をしたいですね」と目を輝かせる。
2人の授業を見守っていた瀬古先生は「2人は留学生のために自分たちでこの授業の内容を考えてくれました。地震が起きることや台風が来ることは私たちには止められない。いかに被害を小さくできるかは2人の話で分かったと思います」と分かりやすい講義にうなずいていた。上田先生は「日本は地震が多い国です。防災の意識を高めた2人のように、みなさんもボランティアに参加して地域の人たちとつながり、防災の知識を次の世代に伝えてほしい」と留学生に呼びかけて授業を締めくくった。


