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ハプニングの連続にも笑顔で乗り切った学生たち
ホテルブライダルを学ぶ学生がプロデュースした2度目の結婚式で
経済学部の鍋嶋正幹准教授のゼミでホテルブライダルを学んでいる国際文化ビジネス・観光学科4年生19人がプロデュースした結婚式が11月2日、神戸市の六甲アイランドにあるホテルプラザ神戸のチャペルで挙行された。同学生たちが携わる結婚式は9月23日に同ホテルで行われて以来2度目。プランナーなどの大役は1度目とは違う学生が務めるなど、それぞれが経験値を活かしてさらに内容の濃い結婚式に挑んだ。しかし、体調不良によるMC(司会進行役)の変更などハプニングが重なった。その苦境を学生たちの笑顔とその場その場の臨機応変な行動で乗り切り、新郎新婦の新しい門出を参列者と学生ら全員で祝福した。
声のトーンや間合い、場の雰囲気づくりなど、式の成否にかかわる大事なポジションとなるMC。繰り返し行ったリハーサルで本番に備えてきたが、そのMC役が体調不良で声が出せなくなった。この窮地を救ったのが、1回目にプランナーを務めた山里遥さん(21)=沖縄県浦添市出身=だった。「プランナーを経験してそれぞれがやるべきことを把握できていました。何回かリハーサルをしてMCの仕事も分かっていたので不安なくできると思っていました」と当日に急遽降りかかってきた大役にも冷静だった。しかし、本番は簡単にはいかなかった。「開会する前の最初の言葉を述べるとき、心臓の音が聞こえてくるほど緊張してしまった」と打ち明けた。しかし、それでも鍋嶋先生の「笑顔を絶やさないように」という言葉を思い浮かべて極度の緊張感を笑顔で乗り切った。


(左から2人目)
結婚式の50分前から行われた新郎新婦を交えたリハーサルでは、欠員によるシフトの穴埋めをしたものの段取り通りに進むことができず、結婚式の開始が10分近く遅れてしまった。本番では時間に追われた上に再びハプニングが。花を重ねてつくった結婚証明書。最後に新郎新婦がそれぞれの花を添えて仕上げるところで、2人の花が行方不明に。証明書が完成して参列者らに結婚が成立したことを報告する大事な儀式がなかなかできない。プランナー役の学生が証明書の中にあった花を2本そっと抜いて新郎新婦に渡し、なんとか難を逃れた。新郎新婦のアテンド役の佐々木汐祥(ささき・せな)さん(22)=香川県善通寺市出身=は「2人の花がないことを事前に気づくべきでした」と頭をかいた。しかし、ここでもみんなの笑顔が武器に。結婚式場でアルバイト経験がある佐々木さんは「ミスをして焦ったとしてもそれを顔に出してはいけないと指導されてきました」と冷静さを失っても笑顔を忘れなかった。参列者は式の流れを知らないため、新郎新婦が行ったしぐさに違和感がなければミスに気がつかない。「花を抜いて対応したことは最善の行動でした。ゲスト(参列者)の方も気づいていなかった」と佐々木さんらはもたついた中でそっと胸をなでおろしていた。
同じようにアルバイト経験があった新宮結好夏(しんぐう・ゆずな)さん(22)=北九州市出身=はリハーサルを仕切り、式では進行をサポートした。「想定してきたことと違うことばかりが起こってしまったけれど、自分はいま何ができるのか、今やることは自分以外の人でもできることなのかなどを考え、役割を交代するなど臨機応変に行動できたことは将来の仕事につながると思います」と災い転じて福となしたチーム力に胸を張った。

=リハーサルから

昨年度の3年時に模擬挙式を行い、鍋嶋先生は「この学生たちならお客様がいる本物の結婚式もできる」と期待が膨らんだという。しかし、1回目の挙式を前に繰り返したリハーサルでは、ホテルで働いている専門家のアドバイスにも対処できない学生たちに「もう少し先を見越して早めの行動に努めたほうがいい」と苦言を呈したほどだった。2度目の挙式を前にすると「1回目が終わってから学生たちの意識が変わりました。リハーサルでもすごく細かなところまで話し合っていました」と期待は再び膨らんでいた。挙式後は「ハプニングがすごく重なりましたが、お客様たちにはいい結婚式だったと思います。学生たちの意思統一ができていたからこれだけの式ができたと思います」と鍋嶋先生も笑顔を隠せなかった。
参列者の温かいまなざしにつつまれる結婚式は新郎新婦にとって一生の思い出となる。それをプロデュースして挙行するというプレッシャーは計り知れなかったに違いない。完ぺきではなかったから余計にこみ上げてくるものも大きかったのだろう。式をやり遂げた充実感、ほっとした安堵感、一人ひとりがつながった連帯感が終了後の学生たちの姿にあふれていた。



