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2020年度の学位記授与式(卒業式)を行いました

新型コロナウイルスの感染拡大防止および健康・安全面を第一に考慮し、学位記授与式を通常より短縮化し、本学の学科別に学位記授与式(卒業式)が行われました。また、学位記授与式に参列できない保護者、学生向けにオンライン配信も実施しました。
終始和やかな雰囲気で無事卒業生を送り出すことができ嬉しく思います。新たなステージでも活躍されることを期待しています。

辻󠄀 正次学長 式文

本日、神戸国際大学の卒業式を迎えられた皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、この晴れの日を心待ちにされてこられた保護者の皆様には、衷心よりお祝いを申し上げます。コロナ禍で困窮する学生に対する支援金には保護者会より多額のご寄付をいただき、この場をお借りして一言御礼申し上げます。

さて、人生でもっとも実り豊かであるはずの大学生活の最後の1年は、新型コロナウイルスに台無しにされました。オンラインでの就職活動や卒業研究の指導と、私も50年近く教職に就いていますが、もちろん初めての経験です。実は私は、卒業式を経験していません。事務室で事務員の方から事務的に卒業証書をもらったことを記憶しています。昭和44年で、東大の安田講堂にゲバ学生が立てこもったときです。大学が封鎖され、ゼミは喫茶店で行いました。この点、皆様と同じ思いを持っています。

百年に一度といわれる今回のパンデミックは、社会に大きな爪痕を残し、我々に新たな教訓を与えました。26年前の阪神淡路大震災、12年前のリーマンショック、10年前の東日本大震災など、平穏な日常が一瞬に崩れ落ちることを見てきました。幸福は実に脆弱です。我々はこのような不確実な世界で生きていることを、改めて痛感させられました。
このような災害などに対応するために人類が生み出した社会制度は、保険です。火災や事故に遭った場合、保険金が支払われます。保険をかけておけば、損害をカバーすることが可能です。しかし、これは間違っています。保険でカバーされるのはお金であって、失われたものそのものではないのです。亡くなられた方が、生き返られるのではないのです。

それでは、我々はどう対処したらよいのでしょうか。重要であるのは、情報と知識です。新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)が良い例です。感染者がでた地域を示すアプリもあります。これらは公知の情報ですが、より重要な情報は口コミです。これは人から人へ伝わるものです、あるいは人と人との「ネットワーク」から得ることができます。人のネットワークを構築することが重要になります。
知識は、学問や科学といっていいですが、ワクチンを開発してくれます。学問は、どのような事態でも、自分はどう行動すべきか、何をすべきかを教えてくれます。人間は災害にはひとたまりもありませんが、生き抜くすべを、これまで獲得した知識をベースに考えることができます。これが学問や科学の力です。

最後に、皆さんが自律的に考え、行動し、本学の建学の理念である「神を畏れ、人を恐れず、人に仕えよ」を胸に刻んで、地域のため、世界のために活躍されることを心より祈念し、わたくしの式辞といたします。ご卒業おめでとうございます。