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プロジェクトⅩⅩⅤ 第36回公開土曜講座 開催いたしました
♦ 藻谷浩介氏講演会 ~神戸市と里山資本主義~
♦ 黒田副市長×藻谷浩介氏 対談 ~神戸市の政策と里山~
♦ プロジェクトⅩⅩⅤ 研究発表
2024年11月2日(土) 神戸国際大学ミカエルホールにて、藻谷浩介先生の講演会・神戸市副市長黒田慶子様×藻谷浩介先生の対談・経済文化研究所プロジェクトⅩⅩⅤ 研究発表(浅野貴彦准教授 白砂伸夫教授)を開催いたしました。
あいにくの雨の中でしたが、約290名の方にお越しいただき、盛会となりました。
<講演>
『ネットのあふれる情報』、『ChatGPT』、『みんなが言っている』。そこから抜け出し自ら得た情報から気づき、考え、行動する。まず気づきのためのクイズタイムがありました。隣の人と話をして答えを出しましょう。会場は大いに盛り上がりました。正解がすっかり私たちの思い込みを裏切っていきます。生活に困らないお金以外の資本とは?の問いには、人生90年、そのうち給料をもらう生活をするのは長くて40年、残りの50年は子どもか老後。お金以外の資本が大切だとのお話がありました。次に神戸市のグーグルマップがスクリーンに映し出され、山、海、住宅地。特に、神戸は六甲山系の北側がうまく活用されていないという黒田副市長との対談につながる話題も。藻谷先生が例に挙げられたのが極上の日本酒をつくるのに欠かせない酒米、『山田錦』です。六甲山系の北側の気候、地形、地質が栽培にとても適しており、品質を保って出荷するのが難しいといわれている米を長年育てている人材とノウハウという素晴らしい資本がある。と紹介されました。
<対談>
藻谷先生と黒田副市長の対談が始まりました。藻谷先生からまず黒田副市長にご出身県のこと、森林研究のこと、神戸市副市長になられたこと等の経緯を質問されました。
黒田副市長は、1000年以上前から伐採して薪や炭、肥料などに利用されてきた里山に人の手が入らなくなり、放置された結果、大木化し、茂りすぎている現状や、『トトロの森』に象徴されるような放置された里山の大木が「理想の里山」と誤解され、伐ってはいけないという風潮になっているというお話をされました。大きくなりすぎると根が体を支えきれなくなり倒れてしまうこと。病気にもなってしまうこと。水害のときには流木となって被害を大きくしてしまうこと。日本の緯度で雨の多い気候では、放っておくと樹は育ち、草も生え放題となり、人が自然の中に組み込まれていないと日本のこの環境では立ち行かないのだということを説明されました。
2024年神戸市から、行政の立場で資源循環をやってほしいと言われ副市長に就任されたこと、その時はぜひ里山資源をお金にしようと考えられたこともお話されました。例えば。。。藻谷先生からナラ材が高級ウィスキーの樽になるお話を、また黒田副市長からは六甲山系の雑木林にある広葉樹が神戸ブランド家具や高級な備長炭になるというお話をしていただきました。
藻谷先生も黒田副市長もたくさんのアイデアを持っておられるのでしょう。お話はなかなか尽きません。
質疑応答の場面では、『六甲アイランドはどうしたらもっとよくなるでしょうか。』と地元ならではの質問がありました。藻谷先生から、『ちょっとした公園の隅で貸農園をつくり市民が土を触り、ものを育てることはどうでしょう。』と提案されました。黒田副市長は『こうべ木陰プロジェクトというのがあり、六甲山の木を移植するというプロジェクトはあります。貸農園ですか。。。農村地帯での貸農園はすでに取り組んでいましたが、これはいいアイデアですね。』と返されました。
また海の活かし方として藻谷先生から、海外では住宅地として開発をするが、日本はまだまだ海岸沿いの開発は、レジャー関連となっていること。神戸国際大学は数少ない海沿い開発の大学であること等をお話しいただきました。
<研究発表>
浅野貴彦准教授からは、『持続可能な介護とロボット技術の倫理』を
白砂伸夫教授からは、『千利休に学ぶSDGsの精神』
と題し、プロジェクトⅩⅩⅤ、研究発表が行われました。
ロボットが人間らしい特性を持つにつれ好感を持たれるようになるが、あまりにも人間らしくなりすぎると不気味になるという『不気味の谷現象』。
千利休とSDGs。価値とは何か。秀吉の価値観をまるで変えてしまった千利休。
どうぞプロジェクトチームが発刊した叢書をご覧になってください。
本日の講師、藻谷浩介先生にも第12章に特別寄稿いただいております。
『SDGs時代における学問の挑戦 -環境・社会・経済から持続可能性を考察する』
~ミネルヴァ書房~
第Ⅰ部 環境
第1章 日本文化に学ぶSDGsの精神:白砂伸夫
第2章 環境教育とSDGs:山本克典
第3章 環境政策とSDGs-環境保全を考える:峯岸律子
第4章 生物多様性とSDGs:湯本貴和
特別寄稿
第5章「エコライフガーデン」は楽園づくり:森 孝之
第Ⅱ部 社会
第6章 包摂的連帯とSDGs:浅野貴彦
第7章 「人間の安全保障」とSDGs-世界の持続可能な成長と国連の知的貢献-:遠藤雅己
第8章 観光における共創価値の創造とSDGs:桑田政美
第9章 巡礼の現場でSDGsを考える:張 政遠
第10章 SDGs未来都市かめおかのチャレンジ:桂川孝裕
第11章 EV普及はユーザーも含めた協働のSDGs:姉川尚史
特別寄稿
第12章 SDGsの外にある社会課題とは何か-少子化を題材に-:藻谷浩介
第Ⅲ部 経済
第13章 ICTで健康をどう守るのか:辻 正次
第14章 環境配慮行動を促進する諸要因の検討:滋野英憲
第15章 中小企業と学生の協働によるCSVアプローチ ー青果卸売事業者のチャネル開拓の事例より-:上田恵美子
第16章 SDGsに取り組むエシカルファッションのあり方:山本ひとみ
神戸国際大学 経済文化研究所 プロジェクトⅩⅩⅤ