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2019年度入学式 式辞

 厳しかった寒さも和らぎ、草花が芽吹き、今年も新たな出会いの季節を迎えました。本日ここに、2019年度神戸国際大学入学式を開催できますことは、私たち教職員にとりまして大きな喜びであります。

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。本学はみなさんを心より歓迎いたします。ならびにご家族・保護者の皆様には、心よりのお慶申し上げますとともに、ご来賓のみなさま、そして関係各位のみなさまには、ご列席を賜り厚く御礼申し上げます。ここに集う学生のみなさんのなかには、他府県の高等学校を卒業し、励ましあった友や支えてくださった家族とも別れて、それぞれの道を歩むこととなり、人生ではじめて自力で進路を決めた方々も多いと思います。

 この大学は、丁度半世紀前に聖公会の主教であった八代斌助師父がキリスト教の精神を背景に、自立した社会人として、また今でこそ耳慣れた言葉になりました「グローバル教育」の先駆けとなる「世界的な視野を持つ人間形成の場」として設立されたユニークな大学です。その創立者が我々に残した建学の精神である「神を畏れ、人を恐れず、人に仕えよ」は、本学の学生と教職員へのチャレンジなのです。

 私が毎年のように新入生のみなさんに贈る言葉があります。私が40年前に今は亡き恩師が授けてくれた言葉です。英語で“pursuit of excellence”と言いますが、これが“pursuit of knowledge”となりますと、「知への探求」となります。しかし“excellence”となりますと、「美徳の探求」とか、「崇高なものの探求」ということになりましょう。つまり、私がこの表現を好ましいと思いますのは、「各々がもつ人格と個性を大切にし、他者を尊ぶ心を養い」、これまでの自分ではない新しい自己を創造することに繋がると考えるからです。

 建学の精神が示すところは、容易なことではありません。この新しい創造には、「強靭な精神」と「忍耐力」に加えて、「優しさ」や「寛容さ」が必要だからです。 「優しさ」と「寛容さ」は「強靭な精神」と「忍耐力」に宿るものです。確かな自分探し、つまり「自己探求」の世界の過程にこそ「ひとりの大人」として成長する鍵が潜んでいるのです。 みなさんは、この学び舎で、己から求めなければ、決して得ることのできないものと出会うことになります。知識の「量」ではなく、己で導き出す「質」が問われることになるのです。自分で考え、物事を解き明かしていく思考力が求められるのです。知識はその手助けをするに過ぎません。皆さんが人生の主体者となり、自己を創造する精神を支える環境を大学は整えております。

 本学での学びとは、教室で学ぶ座学のみではなく、学外での実践学習も奨励しております。経済・経営学科では、企業訪問や自治体との「官学連携企画」、国際文化ビジネス・観光学科では、駐日大使館訪問、神戸ファッション美術館との協働企画、旅行会社に旅行プランを提供する「産学連携企画」など多彩なプログラムが存在しております。
 また、みなさんは多くの留学生と共に学ぶことになります。国際交流センターでは、フランス、ノルウェー、英国、カナダ、アメリカの大学に加えて、中国、台湾、韓国、ベトナム、フィリピン、タイを含む、14カ国、50の大学との提携・協定を配して国際大学として、学生の「グローバルな視点」で物を見て、思考するための交換留学、海外語学留学、海外ボランティア活動を体験する多彩なプログラムなども用意しております。

 リハビリテーション学部では、海外語学研修に加えて、海外提携大学での医療研修なども用意しております。みなさんがこの神戸国際大学で、座学だけではなく、地域ボランティア活動として高齢者の皆さんと協働する健康体操活動や防災・消防活動など、地域に根ざした活動にも従事することで、学んだことを生かせるチャンスもあります。

 さらには、キャリア教育・支援センターでは、国内インターンシップのみならず、海外でのインターンシップ・プログラムも支援しております。これらを通して幅広い文化交流と実践経験もみなさんの「自己形成」のための貴重な財産になるはずです。 これら全てが、就職率97%以上(リハビリテーション学部は100%)という結果に結びついているのですが、この数字を達成するためには、「棚から牡丹餅」のような消極的な思考ではなく、みなさんが自ら求め、自らの成長を希求し、己を叱咤激励することが大切なのです。

 また、留学生の皆さんには、外国人であることに甘えずに、国境のみならず、言語や文化というボーダーを超えて本当の「グローバル人」として成長して欲しいと願っております。本学を卒業した留学生の三分の一は、国公私立の大学院に進学し、三分の一は日本国内の企業に、そして残りの多くは、帰国して海外の日本企業にも就職しております。グローバルな環境の大学で、是非ともそれぞれの将来を広い視野で創造してください。

 リハビリデーション学部のみなさん、4年後に医療従事者となることは、簡単で容易なプロフェッションを意味するのではなく、4年間という短期間に凝縮して必要なすべての知識と技能を取得しなければならない「試練」を意味するのです。 大学生でありながら「普通」の大学生とは異なる学生生活を送ることになるでしょう。人間の肉体という神聖な領域と日々向き合い、ある意味、患者の未来をも担うことになるかもしれません。そのような人になるためには、人間力、コミュニケーション力、そして知識に裏付けされた技能が不可欠なのです。4年後にみなさんが直面することになる国家試験は、その崇高な目的のための新たなる世界の玄関口なのです。この意味で、みなさんは、本学の建学の精神を具現化する人たちなのです。自己を鍛え、他者に奉仕する人間力を養うことを期待されているのです。

 本学は、創立50周年を終え、新しい半世紀に向けて第一歩を踏み出しました。伝統的な少人数教育を維持・推進してきました本学の教職員は、学生との距離が近い特性を活かして、きっとみなさんが変わろうとする姿勢を真摯に受けとめ、支えてくれるはずです。しかし、それは待っていても起こりえません。先ほども申しましたように、「自ら求める」ことが大切です。忘れないでください。 みなさんがこの神戸国際大学で、充実した学生生活を過ごされることを切に祈って、本年度の式辞といたします。

2019年4月4日
神戸国際大学学長
下村 雄紀

2019年度入学式について