私学を取り巻く環境の深刻さにいかに立ち向かうか、この課題は益々重要性を帯びている。「大学全入時代」の到来が話題になって久しいが、ここから発生
した深刻な条件はいまや、特別なものではなく、ごく一般的なものとして定着してしまった。
この決定的基本条件の変貌は、大学の構造的なものを含め、長い歴史や伝統となっていた大学像を変貌させた。その一端、例えば、定員割れ大学の続出、学生確保競争の激化、大学格差の深化等、さらに教育においては、学力低下と特別対応、個別・少人数教育、教員・職員の負担の増大、これらの現実をまえに、カリキュラム・授業内容等の不断の改善等、特に経営(財政)危機に対する活動は一刻の猶予もなく全学取り組みの課題になっていく。
1992年のピークから、大学受験生は100万人減少した。一方、大学格差は極めて深刻な現実を生む。私立大学入学者約70万人を590の私立大学が取り合うまさに競争的環境のなかで、入学者の51%が約10%の大学によって独占されている。この現実こそ1998年大学審議会の答申に示される「競争的環境の中で・・・」にほかならない。さらに決定的なことは、日本の大学が歴史的に形成してきたいわゆる「安穏」体制が根底から覆り、経営危機が隣り合わせに存在している実態である。
このような情勢のなか最も厳しいとされる小規模大学にあって、大学は、「聖公会キリスト教の精神に基づき、全人格的人間形成をめざすとともに教育基本法及び学校教育法に従い、経済学とリハビリテーション学の理論並びに実践について研究教授する」という目的を達成するため、本年度も経済学部のカリキュラムやキャリア教育・支援の充実をはかり、リハビリテーション学部の設置計画を確実に履行するなど教育・学生サービスの充実・向上に努めるとともに、財政体質の改善と財政基盤の整備に向けて2009年度に定めたリハビリテーション学部完成年度を目途とした中期シーリング(概算要求基準)の達成に資するように努めた。
その結果、2010年度は経済学部、リハビリテーション学部ともその収入の基礎となる入学定員を確保し、また、教職員の理解と協力を得て人件費の大幅な削減を実現できるなど財務体質の改善に向けた基本的な条件整備を大きく前進させることができたが、国際別科については、学生定員の確保に課題を残した。
また、2009年度に受審した大学認証評価の結果を踏まえ、FD活動の強化、自己点検・評価体制の充実等について2学部体制において全学的な教学組織としての取り組みを強化・充実するため大学教育センターの設置を決定し、その充実に努めている。
以上、2010(平成22)年度事業報告の総括であるが、引き続き、当面の目標である帰属収支の均衡に向けて、既存の諸制度を見直し鋭意努力を積み重ねる必要がある。